緊急事態宣言の概要とその効力

日本はもちろんこと、世界各国で2020年4月以降前代未聞の利都市封鎖という措置をとられました。
これは新型ウイルスによるパンデミックの影響であり、2021年1月段階でもまだ感染者数が増加しています。
日本では2020年4月、国会で特別措置法が臨時に可決されて首相の権限で緊急事態宣言を発動できるようになりました。
可決後の2日目で緊急事態宣言を勧告され、4月14日から5月13日までの一か月間は全国民が不要不急の外出ができない、という行動制限も体験したわけです。
そしてまだ感染者数が抑制できていない今、いつ宣言を実施されるのかということも注目を集めています。
ここでこの宣言の概要をもう一度見直し、実際にどれだけの効果を得たのかも考えていきましょう。
まず宣言が日本国憲法の第二十二条に記載されましたが、この中には強制力は一切ないという注釈もなされていました。
実際に2020年4月の宣言を受けて、会社や学校をお休みになった方も多いでしょう。
ところが強制力はないということで、正しく守る必要がなかったことがうかがえます、現に、スーパーやコンビニで働いている方は今まで通りお勤めをなされており、医療機関でも医者や看護師といった医療従事者は働いていました。
アメリカやイギリスでも同様で、中には職業差別で命を危険にさらしていると訴えた方もいたほどです。
これは政府でも考慮なされており、宣言中にお勤めをなさった方には特別給付金を支給して対応されました。
特に医療従事者の方には一律2万円の手当を毎日渡されており、健康と引き換えの対処といったところでしょう。
この特別給付金は6月には全国民に10万円の額面でわたされましたが、特別予算20兆円で対応なされました。
国債から捻出されていますが、約40年間の猶予があるので今はコロナの収束に全力を注ぐことを政府が示す形となったといえます。
緊急事態宣言は首相権限で発令できると述べましたが、実際はそう簡単には発令できません。
それは全閣僚と野党・与党の合意を得てからの発令となるからです。
つまり、国民の代表である国会議員の大多数が発令を求めないと声高に叫ばれないということです。
国民の行動から経済活動の停止があるため、用意に叫ぶことができないことは多くの方が理解されているでしょう。
ここからは実際に4月から5月にかけて発令された、緊急事態宣言の効果について見ていきましょう。
まず小学生から、大学生に至るまでの全学生が休校を体験するに至りました。
最大で3か月間の学校の休みとなり、義務教育課程では大きな授業の遅れが問題となったほどです。
これに対して文科省ではオンライン授業の実施を、国内の全教育機関に通達しました。
オンライン授業とはインターネット回線を使って実施されるもので、パソコンを介して学校の授業を受けられるというものです。
ところがこれを実現するにはまだ、時期尚早でした。
それは、全家庭に必ずパソコンとネット回線があるわけではないからです。
2020年4月段階でネット普及率は約60パーセントに留まっており、これは日本のIT政策が遅れていたことが浮き彫りになったといえるでしょう。
政府と自治体は特別予算を再び組み、ネット環境がない家庭に向けて最大で2万円の給付をなされています。
次に飲食店の場合、最大1か月間の休業を余儀なくされ、多くの方が失業するという事態にもなったほどです。
飲食店に対しては1日10万円の給付をなされましたが、この金額では雇用を維持できないということもわかります。
失業なさった方にも現金給付をしたものの、それは一時しのぎの金額でしかありません。
現段階でも約300万人の方が失業しており、今後コロナの感染拡大が大きくなるともっと多くの方が失業する懸念もあります。
これがあるため、政府並びに首相は緊急事態宣言の発令を頑なに拒んでおり、現在もまだ再発令をなされていないわけです。
そして重要なコロナ感染の抑制効果については、さほど成果を上げていません。
中高年の感染者が目立っていますが、この方々は周囲が行動自粛をおこなっているにも関わらず、昼間からカラオケ大会等を実施されておりクラスターという集団感染を引き起こしています。
東京では若者と高齢者が対立する事態に発展し、自粛警察という他者の行動を監視する動きまであったほどです。
国民全員が一致団結をして自粛をしないと、正しい成果がでないのも問題視されました。
先にも述べましたが、緊急事態宣言はあくまでも注意喚起のみしかなく、強制力は一切ありません。
そのため、再び発令したとしても、それが感染を縮小できるという保証はないということです。
政府はこの点も考えており、もし再び発令することがあれば正しく自粛をしない方に対して罰金を科すといわれています。
それほど緊迫した状況になった時しか発令はなされないので、国民一人ひとりが緊張感を持たないといけません。